シナノキ  科の木 級の木 2012.5. トップページ
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セイヨウシナノキ   セイヨウボダイジュ 
シナノキ 科の木 品の木  Tilia japonica 

シナノキ科(アオイ科)シナノキ属

シナノキの花柄に付いている箆状の苞葉には柄がある 葉は左右非対称の心形 果実はほぼ球形 仮おしべはある 花色は白

長野県の古名信濃は『科野』と記して、科の木を多く多く産出したことから付けられ た名前だと言われる シナノキの樹皮は繊維が強く、ロープの材料として使われている

シナノキ属はヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸などに広く分布している

シナノキやシナノキ属の多くは5枚のガク片と5枚の花びらとトックリのような雌しべと長く出ている雄しべがある シナノキの見分けのポイントは花びらの根元から重なるように5枚の仮雄しべ(Staminode)があること セイヨウボダイジュやフユボダイジュに仮おしべはない?らしい

シナノキの葉は表面は滑らか葉裏には葉脈の元に毛が密集する
シナノキ属の特徴
セイヨウシナノキTilia europaea)=オランダシナノキTilia vulgaris)英名リンデン ドイツ語リンデンバウム フランス語ティユール  シューベルトの歌曲集「冬の旅」『菩提樹(リンデンバウム)』は有名 ヨーロッパに広く分布する ナツボダイジュとフユボダイジュの交雑種 花はシナノキによく似て花色は白色 仮おしべはない 箆状の苞葉に柄がある 葉は光沢がありシナノキに酷似する 幹肌は縦に割れる

セイヨウボダイジュTilia platyphyllos)=ナツボダイジュ ヨウシュボダイジュ 葉はフユボダイジュより大きい 葉面に光沢はない 葉の裏表に毛が密生する 基部は心形 花は淡黄色で雄しべが多い 花柄の苞葉に柄がある 果実に4〜5本の陵がある 幹肌は滑らかで少し割れる  

オオバボダイジュTilia maximowicziana)=アオジナ は北海道本州中部以北に自生分布する 北海道では街路樹として多く植えられている 葉はシナノキより大きい(葉身で15cm以上葉柄共20cmぐらいは平均)ので見分けやすい シナノキの葉は滑らかオオバボダイジュはがさがさ 葉裏には毛が密生しているため白く見える 花の色は淡い黄色で花の雰囲気もシナノキとは違う 実はシナノキよりも大きいので比べて見分けられる 花柄の箆状の苞葉には柄がない 幹肌は縦割れはない 画像は筑波実験植物園

フユボダイジュTilia cordata )別名コバノシナノキ・コバノボダイジュ 葉の基部は心形 光沢があり葉の脈腋に毛があり他にはない 花はシナノキに似ているが花びらはうすい黄色 雌しべは雄しべより長く目立つ 花柄の苞葉の柄は短い フユボダイジュは寒冷地に適している  

ボダイジュTilia miqueliana) 中国原産 花と花柄の箆状の苞葉に柄がないのはオオバボダイジュに似ている 葉は丸みではなく先が細り尖る 幹肌は縦に割れる 日本各地の寺院などに植栽されている 画像は京都府立植物園

インド菩提樹bodhi) クワ科で別種 釈迦が「菩提樹の樹下で悟りを開いた」とされる時の菩提樹

インドボダイジュの参考画像 インドで修行された友人のお土産の手帳に貼られていたインド菩提樹の葉の透かし葉と花びら 葉は意外に小さいです 

 

蕾の出始まりは上を向いている シナノキの花柄の箆状の苞葉には柄がある 幼木
はほぼ球形 
近くにある2本のシナノキの比較 葉の芽吹きの時期の違い
シナノキの特徴の一つ葉裏の脈腋に毛が密集している点は共通しています 幹の縦割れが少ないこと違い点を観察中の左の木
2014.5.1. 2015.4.26.
左の木  2番 右の木 1番
 1番 標高約400メートル 2012年5月5日の芽吹 若葉に展開し始め 毎年花をたくさん咲かせる上の写真の木 幹直径約30cm  幹肌は縦に裂けている       
2014.4.26. 2014.4.27. 2014.4.29.
2014.5.1. 花盛りのころ
2012.5.5.
標高400メートルぐらい 1番より数メートル高いところに自生 2012年5月6日には青葉の成葉になっている 花の咲いたのをここ数年観察しているが見たことがない 幹は数本の株立ち 幹肌の縦割れは目立たない  葉の先が長く伸びることからセイヨウボダイジュの可能性もあり これからの観察課題です  

追記 2015年8月20日 葉裏の茶色の毛の集まり 葉身などからシナノキとします 芽吹きの時期の違いは個体差ということ・・・で

 2番
2014.4.27. 2014.5.1. 2014.5.5.
2014.4.27. 2013.7.12 2012.5.5.
2015年8月20日 葉裏と葉身の画像追加
 3番 標高450メートルぐらい 5月6日撮影 1番の木が芽吹き始まりの時期に標高の高いところに自生のこの木は青葉の成葉になっている 朝陽は当たるが西陽は当たらない場所 花は今年確認したが見られない 
2013.5.6.
成葉
葉裏に毛が集まっている
1番の木 2015年の開花 6月26日撮影
シナノキを使う習慣で身近に覚えていること

田舎の旧家で新築するときの『たてまい』(上棟祝い・棟上式)という儀式の時必ず餅つきをします。 お祝いの招待者の若い方が大量の餅を搗く役目です

重ね餅を4組つくりそれは棟の四方に供え、その後出産を控えた家族を持つ家に安産のおまじないに持たせます あんころ餅をたくさんつくり振舞われたり 「餅撒き」は近所の人も誰でも参加できるお楽しみ祭事です 餅を小さく丸めて棟の上からお菓子や小物と一緒に撒かれます 棟上式は地区の楽しみなお祭りでもありました その上棟式の時には新築の家主はシナノキで餅つきの杵を新しく準備します

最近は古来の日本建築で家を建てる人も少なくなりこのような上棟式のお祭りもほとんど見られなくなり、イベントのデモンストレーションで見るくらいになりました

  那須の里山花図鑑